「好き」 「好きだ」 「好きだよ」 呪文のように近藤は繰り返す。唱えるたびに現実が近藤を縛り付ける。俺という存在を枷にして、飛んでいきそうになる自分の心をがんじがらめに縛りつけ、どこにも行けない理由を作る。 「愛してる」 なんてズルくて卑怯で自分勝手な── 「俺もだよ近藤さん」 いじましく待ち続け、貞淑な顔で心の底につけこんでも罪悪感のひとつも湧かない。 近藤がいなくならないと言うのならなんだって唱えてやる。魔法だろうが呪詛だろうが。 「俺も愛してる」
─終─