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「てめェに何が分かんだよ」
気が付くと土方は沖田の胸倉を掴んでいた。
「背中の傷が不名誉だなんてあの人は思っちゃいねェだろうがな、俺だったら近藤さんをあんな目にあわせなかったさ。でも俺は傍に寄ることさえも出来なかったからてめェに託したんだ。護りたくても護れなかった俺の気持ちが分かるか?届かない声を嗄らした俺の気持ちが分かるのかよ!」
「何を今更」
沖田が冷たく笑う。
「それが俺の普段の位置じゃねェですか。あんたたちが寄り添う姿をずっと見てきましたぜ。そんなことにも気付かなかったんですかィ。そうか、あんたは近藤さんにしか興味がねェんですもんね。それなのにその近藤さんにも今日みたいな夜は置いてきぼりとは、あんたも気の毒なお人だ。試しに、本当は俺の腕の中で泣いて欲しいって言ってみたらどうです?弱さも全部さらけ出して欲しいって。お人好しなあの人のことだァ、自分の感情殺してでも聞き入れてくれるかもしれませんぜ」
「総悟……」
胸倉を掴む手が震える。土方の口から火の点いていない煙草を摘み上げて咥えると、沖田は微笑を浮かべた。
「結局俺もあんたも同じじゃねェですか。相手に感情を押し付ける度胸もねェ。口では偉そうなこと言ってましたが俺と同じ状況に陥ったら、同じことをしたはずですぜ。あんたは自分の命を捨ててでも近藤さんを庇ったはずだ」
「よく分かってんじゃねェか。俺もそうするだろうな」
土方は唇を噛み締めた。
「それでも俺は近藤さんのために死ぬくらいなら、近藤さんのために生きるさ」
「矛盾してますぜ、土方さん」
沖田が土方から取ったライターで煙草に火を点した。すぅっと煙が立ち上る。二人の間を漂う煙に、土方は血の味に似た苦さを覚えた。
─終─